2025.12.25
坂道駐車は車に悪い?AT車で負担をかけない停め方の基本
最終更新日: 2025.12.25
坂道駐車は「車に悪い」と言われることがありますが、その理由を正しく理解している人は、それほど多くありません。
AT車では、停め方によって駆動系に負担がかかりやすくなるのは事実です。ただし、正しい手順を踏んでいれば、過度に注意する必要はありません。
この記事では、坂道に車を停めたときの車への影響や負担の少ない駐車方法を解説しつつ、よくある疑問にも答えていきます。
坂道に車を停めると車の負担になるの?

坂道に車を停めたからといって、それだけで車がすぐに傷むわけではありません。
ただし、停め方によっては、ギアやミッションまわりに余計な負担がかかることがあります。
坂道では、車は常に下へ動こうとする力を受けています。この状態でパーキングブレーキを使わずにPレンジへ入れると、ブレーキではなく、ミッション内部の部品だけで車を支える形になります。
その結果、ギア操作時に引っかかるような感覚が出たり、「ガクッ」とした違和感を覚えるのです。
坂道駐車そのものが問題なのではなく「どこで車の重さを受け止めているか」によって、
車への負担が大きく変わる点を押さえておくことが大切です。
坂道駐車による車への影響とは
坂道駐車による車への負担は、すべての部位に同じようにかかるわけではありません。停め方や車の構造によって、影響が出やすい部分と、過度に気にしなくてよい部分があります。
ここでは、坂道駐車で負担が集中しやすいポイントと、誤解されやすい点を分けて見ていきます。
AT車はギア・ミッションまわりへの負担が大きい
坂道駐車で負担がかかりやすいのは、AT車のギアやミッションまわりです。
これは、Pレンジで車を固定した場合に発生します。

Pレンジに入れると、ミッション内部の部品が噛み合い、車が動かないように固定されます。坂道でパーキングブレーキを使わずにPレンジへ入れると、車の重さをこの部分だけで受け止める状態になり、過度の負荷がかかるのです。
この操作ですぐに故障するわけではありませんが、同じ停め方を繰り返すと負担が蓄積され、故障しやすくなることは理解しておきましょう。
AT車で坂道に停める際は、パーキングブレーキを先に使う習慣をつけることが大切です。
足回りやブレーキへ、どこまで気にする必要があるか
坂道駐車というと、足回りやブレーキへの影響を心配する人も少なくありません。
しかし、通常の使い方であれば、過度に気にする必要はないといえます。
サスペンションやタイヤは、走行中に大きな力がかかることを前提に設計されています。そのため、坂道に停めた程度の負荷であれば、影響が出ることはほとんどありません。
ブレーキについても同様です。パーキングブレーキは、車を停めた状態を保持するための装置であり、坂道での使用を想定して作られています。
正しい操作をしていれば、足回りやブレーキが原因で坂道駐車が故障につながるケースは少ないでしょう。
安心・安全な坂道駐車の方法とは?

車に負担をかけない坂道駐車は、決して難しいものではありません。
坂道だから特別な操作が必要というよりも、車の重さをどこで受け止めるか意識することで、ギアやミッションまわりへの負担は大きく変わります。
ポイントになるのは、停めるときの操作順序です。
ここからは、AT車で坂道に停める際に意識しておきたい基本的な手順と、安全面で押さえておきたい考え方を解説していきます。
AT車でおこなうべき基本の駐車手順
AT車で坂道に停めるときは、停める順序が重要です。
ポイントは、車の重さを先にブレーキで受け止めてからPレンジに入れること。
基本的な流れは、次の順序になります。
- ブレーキペダルを踏んだまま停車する
- パーキングブレーキをかける
- 車が動かないことを確認してからPレンジに入れる
この順序を守ることで、車の重さをギアやミッションだけで支える状態を避けられます。
結果として、ギア操作時の引っかかり感や「ガクッ」とした動きは出にくくなり、出発時も快適になるでしょう。
上りと下りでちがう安全対策
坂道駐車では、車への負担だけでなく安全への配慮も欠かせません。
特に意識しておきたいのが、ハンドルの向きです。
下り坂ではハンドルを道路側に、上り坂では歩道側に切って停めるのが基本とされています。これは、万が一車が動いてしまった場合でも、車が自然に縁石や歩道側へ寄るようにするための安全対策です。
頻繁に起こる事態を前提にしたものではありませんが、坂道に停める機会が多い場合は、パーキングブレーキの使用とあわせて習慣化しておくと安心でしょう。
坂道駐車に関するよくある質問

坂道駐車をした際に「Pレンジからギアが抜けにくい」、「停めたはずの車が少し動いた気がする……」など気になる体験をした人も多いでしょう。
ここでは、坂道駐車に関するよくある疑問と対策について詳しく解説していきます。
Pレンジからギアが抜けにくいのは問題ない?
坂道でPレンジからギアが抜けにくく感じるのは、珍しいことではありません。
これは、パーキングブレーキを使わずにPレンジへ入れたことで、車の重さがギア側にかかり、その力が抜けるまで操作が重く感じるのです。
故障ではありませんが、こうした状態は部品の劣化につながるため、坂道ではパーキングブレーキを先に使う停め方を意識したいところです。
停めたはずの車が少し動いた気がするけど大丈夫?
坂道で停車した直後や、Pレンジに入れたあとに「ガクッ」と動いたように感じることがあります。これは、車の重さがかかる位置が切り替わるときに起きやすい動きです。
正しく停めていれば、勝手に走り出すような危険な状態ではありません。ただ、パーキングブレーキを使わずに停めていると、この症状が出やすくなります。
不安を感じた場合は、いったんブレーキを踏み直し、落ち着いて停め直せば問題ありません。
MT車の場合、坂道駐車で気をつける点は違う?
MT車でも、坂道駐車で基本的に意識したいのはパーキングブレーキの使用です。
AT車と違いPレンジはありませんが、ギアを入れずに停めると、車が動くリスクが高くなります。
上り坂では「前身のギア」、下り坂では「バックギア」にいれて、パーキングブレーキと併用するのが安全です。
サイドブレーキがない車は、どう停めればよい?
最近の車では、サイドブレーキがなく、電動パーキングブレーキやPレンジと連動するタイプも増えています。
こうした車では、Pレンジに入れると同時にパーキングブレーキが作動する仕組みになっているため、基本的にはメーカー指定の使い方をしていれば問題ありません。
ただし、坂道ではブレーキペダルを踏んだままPレンジへ入れ、車が完全に止まった状態で固定されるのを確認すると、余計な負担を避けやすくなるでしょう。
まとめ|坂道駐車は正しい手順で止めれば怖くない

坂道駐車は「車に悪い」と言われがちですが、正しい停め方をすれば車への大きな負担はありません。
AT車の駐車手順は以下のとおりです。
- ブレーキペダルを踏んだまま停車する
- パーキングブレーキをかける
- 車が動かないことを確認してからPレンジに入れる
坂道そのものよりも、どこで車を支えているかを理解して操作をすることが大切。
基本的な構造と手順を理解することで、あなたの愛車とより長く快適に付き合うことができるはずです。