2025.09.12
なぜキャンピングカーは防災に役に立つ?地域イベントで見えた新たな可能性

最終更新日: 2025.09.12
「キャンピングカーは防災に役立つ」──そう聞いて驚く人も多いかもしれません。ところが、最新の災害現場では実際にキャンピングカーが活躍し、復興作業員や被災者を支えてきました。そのリアルを体感できるイベントが、所沢市で開催された「ママが考えた防災フェス in よっとこ」です。今回はその現場に潜入し、石川県の能登半島地震の際には実際にキャンピングカーを派遣したVANTECHに話を聞いてきました。
なぜキャンピングカーが防災で注目されているのか?

地震や台風といった自然災害が相次ぐ日本。避難所不足やプライバシーの欠如、ペット同伴の困難さなど、従来の避難環境には多くの課題があります。
そこでいま注目を集めているのが 「キャンピングカー=動く避難所」 という新しい視点。
電源や水回りを備え、家族で過ごせるプライベート空間を確保できるキャンピングカーは、
- 避難所に入りきれない人の一時的な住まい
- 復興作業員や支援スタッフの宿泊施設
- ペットと一緒に避難できる安心拠点
として大きな役割を果たせるのです。日本RV協会(JRVA)も「キャンピングカーはレジャーだけでなく防災インフラの一部」と位置づけ、全国での普及と啓発を進めています。
所沢で開催!「ママが考えた防災フェス in よっとこ」

2025年9月7日、所沢市の観光情報・物産館「YOT-TOKO」で開催されたイベント「ママが考えた防災フェス in よっとこ」。
子育て世代のママたちが中心となって企画されたこのイベントは、「楽しみながら防災を学ぶ」ことを目的に、多くの家族連れで賑わいました。


会場では消防服の着用体験や消火器の操作、段ボールベッドの組み立て、防災ワークショップなど、子どもから大人まで楽しめる体験型プログラムが満載。さらには キャンピングカーの展示 も行われ、「災害時にキャンピングカーはどんな力を発揮するのか?」というテーマをもとに展示され、来場された子供たちはキャンピングカーに興味津々でした。
VANTECHに聞く!「キャンピングカーが防災に役立つ理由」
今回のイベントに参加していたのは、国内キャンピングカーメーカーの大手 VANTECH(バンテック)株式会社。
広報担当の露木氏に、同社の取り組みや実際の災害現場での活用について話を伺いました。
日本を代表するキャンピングカービルダー

VANTECHは、キャンピングカーの製造・販売に加え、レンタカー事業や中古車販売も展開。直営店は北海道、埼玉(所沢)、神奈川、愛知、京都、山形と全国に広がり、累計製造台数は約1万2,000台。
40年の歴史を誇る、老舗キャンピングカーメーカーです。

展示されていたのは同社の人気モデル「CORDE Leaves」。家庭用エアコンや冷蔵庫、水道、ヒーターなどを備え、災害時でも“動く家”として活躍できる仕様です。




能登半島地震での出動と教訓
露木氏は、実際に 能登半島地震の被災地にキャンピングカーを派遣 した経験を持ちます。
「一番印象に残ったのは家の倒壊よりも下水の損壊でした。水はあっても流せない。結果として仮設トイレが山ほど並び、臭いや衛生の問題が深刻化していました。」
キャンピングカーはそんな問題を解決するために、ラップ式トイレを採用している場合が多く、
今回展示されていた「CORDE Leaves」では車内のフリースペースに設置して個室トイレとして活躍していたそうです。
※ラップ式トイレとは・・・水を使わず、熱圧着によって排泄物を1回毎にラップ(個包装)して密封するポータブルトイレ「ラップポン」。臭いや微生物(細菌)を密封。感染症(新型コロナウイルス等)の二次感染予防にも利用されている簡易トイレです。


加えて、携帯電話が繋がらず「孤独感」に苛まれる人が多かったとも語ります。地域外からの作業員の方はプライベートの空間はほとんど作れないですし、避難所では人があふれ、プライバシーも十分に守られません。そんな中、キャンピングカーは空調の効いたプライベート空間を確保できるため、復興作業員や被災者にとって心身の拠り所となりました。

家族でできる最初の防災対策

最後に、露木氏から来場者へのメッセージ。
「キャンピングカーがなくても、家族で必ず『災害時にどこに集まるか』を決めてください。
携帯が繋がらない、交通が途絶える──そんな時でも“ここで会おう”という約束があるだけで、不安は大きく和らぎます。」
シンプルでお金もかからない、でも一番大事な備え。実際に震災の現場に足を運んで体感した露木氏の言葉に会場に集まった家族連れも真剣に耳を傾けていました。
まとめ:キャンピングカーは「レジャー」から「防災」の時代へ
今回の「ママが考えた防災フェス in よっとこ」で改めて浮き彫りになったのは、キャンピングカーの持つ災害対応力。
- 避難所では不足しがちなプライベート空間を提供
- 空調・電源・水回り設備により衛生と快適性を確保
- ペットと一緒に避難できる柔軟性
- 支援活動の拠点としても活用可能
日本RV協会が明言するように、キャンピングカーは「遊びの車」を超え、社会の防災力を支える「動くライフライン」としての役割を担い始めています。
今回ご取材にご協力いただいたVANTECH
会社名:VANTECH株式会社
所在地:〒359-0015 埼玉県所沢市日比田95-1
公式HP:https://www.vantech.jp/
公式YouTube:https://www.youtube.com/user/vantechTV