2025.03.30
車のバースト(タイヤ破裂)とは?原因・対策・起きた時の対処法を解説

最終更新日: 2025.03.31
車を運転する上で絶対に知っておきたい言葉の一つが「バースト」です。バーストは重大な交通事故につながる危険性があるため、日常的な車のメンテナンスや運転時の心構えとして知識を身につけておくことが非常に重要です。本記事では、バーストの意味、発生する原因、予防策、万が一発生した際の対処法について詳しく解説します。
バーストとは?基本の意味

バースト(burst)とは、英語で「破裂」や「爆発」という意味を持つ言葉です。自動車関連の用語として使われる場合は、タイヤバーストを指すのが一般的です。つまり、走行中や駐車中にタイヤが突然破裂し、空気が一気に抜けてしまう現象のことをバーストと呼びます。
バーストは、高速道路や長距離ドライブ中に発生すると、車両がコントロールを失い、大きな事故につながるリスクが高くなります。そのため、バーストに関する正しい知識を持つことは、安全運転の基本とも言えるでしょう。
バーストが発生する主な原因
タイヤバーストは、偶然や突発的に起こるものではなく、必ずと言っていいほど「予兆」や「原因」が存在します。ここでは、実際にバースト事故の多くで確認される原因を詳しく紹介します。
空気圧不足(低圧)
メカニズム
タイヤ内部には規定量の空気が充填され、適正な形状を維持することで安全に走行できます。しかし、空気圧が不足するとタイヤはたわみ(変形)が大きくなり、内部構造(カーカスコード、ベルト層)に無理な力が集中します。これが内部損傷や異常発熱を引き起こし、最終的に破裂します。
なぜ空気圧が下がるのか
- 通常でも1ヶ月に5〜10%は自然に減少
- 釘や異物の微細な刺さり
- ホイールやバルブの劣化
- 季節変化(気温低下で圧力も低下)
空気圧過多(高圧)
逆に空気を入れすぎた場合もバーストの原因になります。空気圧過多により接地面が減少し、タイヤ中心部だけが摩耗します(センター摩耗)。また、跳ねやすくなり、段差や衝撃を受けた時に内部コードが切れる危険性が高まります。
タイヤの経年劣化・摩耗
経年劣化
タイヤのゴムは紫外線、酸素、オゾン、温度変化などで徐々に劣化します。これにより、ゴムの弾力性が低下し、ひび割れや硬化が発生します。ひび割れが進行するとバーストに繋がります。
摩耗
スリップサイン(残溝1.6mm)を超えた摩耗状態では、ゴム層が薄くなり、内部のコード層が損傷しやすくなります。
過積載(オーバーロード)
車両の積載量を超える荷物や人を乗せると、タイヤは本来想定していない荷重を受けます。特に商用車・SUV・ミニバンは荷物や人数が増える傾向があるため注意が必要です。
外的要因(異物踏み、縁石・ガードレール接触)
- 釘やボルトのような鋭利な異物
- ガラス片、金属片
- 縁石や道路の段差によるサイドウォール(側面)の損傷
タイヤのサイドウォールはトレッド面より薄く、衝撃に弱いため、縁石にこすっただけでもバーストに至るケースもあります。
高速走行中のオーバーヒート
長時間、高速道路を走行することでタイヤは発熱します。空気圧不足・過積載・高温路面(夏場)などが重なるとタイヤ温度はさらに上昇し、耐熱限界を超えてバーストに至るケースが多発しています。
バーストの予防方法

バーストは決して避けられない事故ではありません。適切な点検・運転を心がければ、防ぐことができる確率が高いです。
空気圧管理(基本中の基本)
理想的なチェック頻度
- 月に1回
- 長距離走行前
- 季節の変わり目(特に冬⇔夏)
チェックのポイント
- 車両指定の空気圧を必ず守る
- 前輪・後輪・スペアタイヤもチェック
- 高速走行時や積載時は「高め推奨値」を採用する車種もあり
エアゲージ(空気圧計)を車載しておくと便利です。
タイヤの残溝・劣化確認
確認ポイント
- スリップサイン(残溝1.6mm)を超えていないか
- サイドウォールにひび割れ・膨らみがないか
- 製造から5年以上経過していないか(推奨は4年以内)
適正積載
積載量を守ることはタイヤ保護に直結します。過積載は以下の危険を招きます。
- タイヤの負担増加
- 制動距離の悪化
- コーナリング性能の低下
特にキャンプ、引っ越し、業務用車両は、積載前に一度「積載重量」を確認しましょう。
安全運転の実践
- 急ブレーキ、急ハンドル、急発進を避ける
- 道路の継ぎ目や段差は減速して通過
- 縁石に乗り上げない、サイドウォールをこすらない
- 高速道路は長距離走行前に必ずタイヤ点検
定期点検・プロの診断
年1回、ディーラーや整備工場でタイヤ点検を受けましょう。表面的に見えない内部損傷や、プロだから気づける危険なサインもあります。
バーストに備えた装備
以下のアイテムは最低限車に備えておくと安心です。

補足:バーストが多いタイミング
実はバーストには発生しやすいタイミングがあります。
- 夏(路面温度上昇)
- 連休前後(高速走行+積載増加)
- 5年以上経過したタイヤ
- 車検直前(整備を怠りやすい時期)
万が一、バーストが発生したら

もしも走行中にバーストが発生した場合、冷静に対処することが最も重要です。
絶対に急ブレーキを踏まない
バースト直後に急ブレーキをかけると、ハンドル操作を失いやすく、スピンや横転の原因になります。エンジンブレーキやアクセルオフによって徐々に減速してください。
ハンドルをしっかり握る
バーストした直後は車体が不安定になりますが、ハンドルをしっかり保持し、進行方向を保つように心がけましょう。
徐々に路肩へ移動
車の速度が落ちてきたら、ハザードランプを点灯させて後続車に注意を促しつつ、路肩へゆっくりと停車します。
安全確保と救援要請
停車後は、安全な場所で停車したことを確認し、後続車から見えやすい位置に停止表示板や発炎筒を設置します。その後、ロードサービスやJAF、警察に連絡しましょう。
高速道路でのバーストは特に危険
バーストが最も危険なのは高速道路です。高速走行中は車体の挙動が急激に乱れ、ドライバーが冷静に操作をしないと大事故に繋がります。また、高速道路上での停止は二次災害のリスクもあるため、必ず以下のことを守りましょう。
- 無理にタイヤ交換をしない(本線や路肩での作業は危険)
- ガードレールの外や安全な場所に避難する
- 可能であれば非常電話から救援要請をする
まとめ
バーストは、正しい知識と日常的なメンテナンスによって大きく防ぐことができます。特にタイヤの空気圧点検、適正な積載量、適切なタイヤ交換時期の把握が重要です。また、万が一バーストが起きた際にも、冷静に対応することで事故を最小限に抑えることが可能です。安全運転を続けるためにも、ぜひこの記事で学んだポイントを日々のカーライフに役立ててください。