CAMPINGCAR LIFE

2023.06.30

防災対策にキャンピングカーが注目されるなか、ダイレクトカーズと松阪市が協定を締結

最終更新日: 2023.06.30

キャンピングカーは電気やガス、そして、水のない場所でも生活できる設備が整っています。この特性から、レジャーばかりでなく、いざという時にも役に立つことが注目されてきました。特に自治体などは、災害時にキャンピングカーを活用できないか、と対策を考えているのです。

ダイレクトカーズと松阪市が災害時の協定を締結

そこで、被災時にキャンピングカーを利用できるように、自治体とキャンピングカービルダーが協力する災害協定が締結され始めています。2023年5月29日には、キャンピングカービルダーのダイレクトカーズと三重県松阪市が「災害時におけるキャンピングカーの提供に関する協定」を松阪市役所にて締結しました。

この協定は、いざという時に、ダイレクトカーズがキャンピングカーを貸し出して、松阪市の災害対策に役立てるという内容です。

交通手段が寸断されたとしても、自走できるキャンピングカーで、いち早く必要とされる場所へ向かい、キャンピングカーの設備を活用して、災害時の拠点を作ることができます。

被災者の避難場所として利用したり、スマホの充電場所を提供したり、さらに、災害対策事務所として、自治体機関としての役目も果たしてくレます。

これまでにも自治体とキャンピングカービルダーの災害協定が締結されていますが、自治体の機能を維持するためにキャンピングカー利用を期待しているケースも多いようです。

キャンピングカーを利用できることで生まれる安心感

キャンピングカーオーナーであれば、自身のキャンピングカーを利用して避難できますが、自治体がキャンピングカーを所有するのは難しい、といえるでしょう。そこで、災害時にキャンピングカーを借りられる協定を結ぶことで、大きな安心感も生まれるのです。

貸し出されるキャンピングカーの種類は、キャンピングカービルダーがその時在庫している車両になります。今回、締結式で展示されていたのはTRIP2というクルマでした。

充実した電源設備に、温水まで使える設備が整っています。その機能性の高さについて説明を受けた松阪市市長の竹上真人氏も驚いていました。

キャンピングカーが災害時に役立つ理由

キャンピングカーがなぜ災害時に役立つのか、今回、展示されていたキャンピングカー「TRIP2」の設備で確認してみましょう。

居住空間の提供

被災地の状況は予測できません。建物が崩壊していることもあります。そこで、まずは生活する空間を確保することが、キャンピングカー最大のメリットになるのです。

車内をリビングエリアとして利用したり、就寝スペースを確保することもできます。また、高い断熱構造により、暑さ、寒さにも強く、避難してきた人へ快適な環境を提供してくれるのもポイントです。

キッチン・電気が使える

キャンピングカーには就寝スペース以外に、キッチンスペースが確保されています。水のタンクを搭載しているので、給水車が現場に到着する前に、水を確保したり、食事を提供できることもメリットになります。

電子レンジなどの家電があれば、さらに利便性は向上します。電子レンジが使える環境であれば、電源設備が充実していることにも期待できます。大きな容量のバッテリーが設置されていたり、ソーラーパネルで電気を作っていれば、多くの人に電気を提供することも可能です。

バスルームで衛生的に

災害時はトイレやお風呂が利用できないなどの問題が出てきます。一般的な生活ではない日々を送るなか、衛生的な状態をキープするのは難しく、感染症などのリスクも増えます。

そこで、活躍するのがキャンピングカーのバスルーム。トイレとして利用することもできるし、シャワーを浴びることも可能です。給湯設備が整ったTRIP2であれば、さらに快適性は向上することでしょう。

冷蔵庫での保管

冷蔵庫があることも大きなメリットになります。食品の品質をキープできる他に、冷温保存の薬なども保管できるのも大切です。

避難生活が長引くと、いつも飲んでいる常備薬が確保できなくなってしまったり、薬の品質をキープできなくなってしまうこともあります。そんな時、冷蔵庫の存在が大きくなるのです。

拠点としての役割

竹上市長を最も驚かせたのは、この大きなディスプレイ。リビングエリアの後方にもモニターがありましたが、バンクベッド部分には、さらに大きなモニターが設置されていたのです。

キャンピングカーといえば、避難場所として考えられることも多いのですが、災害時の事務所としての機能性も発揮します。

このように大きなモニターが設置されていれば、情報を多くの人と共有したり、ビデオ会議などにも利用できることでしょう。

おわりに

キャンピングカーの設備を改めて確認してみると、災害時に役立つ機能性をたくさん見つけることができます。

そんな便利なキャンピングカーが災害時に私たちの街に駆けつけてくれたら、心強い存在になるのは間違いありません。

現在、色々な場所でキャンピングカービルダーと自治体が協定を締結し、災害時のキャンピングカー活用を想定しています。このような動きは、今後もさらに増えていくと考えられます。

渡辺圭史

1971年生まれ。アウトドアメーカー、クルマ系出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。その後、フリーランスとなり、アウトドア、クルマ系の媒体で執筆。日々のカーライフを@keishi1971で発信中。