2024.04.22
日本RV協会の能登半島地震への車両貸出支援を取材
最終更新日: 2024.05.02
能登半島地震発生直後より、日本RV協会(キャンピングカービルダーの協会)は、被害が甚大だった石川県の珠洲市と輪島市にキャンピングカーを貸出提供しています。
CAM-CARでは、提供車両のメンテナンスに同行しましたのでその模様をお伝えします。
能登半島地震の被害状況
出発地の金沢市は多くのインバウンド観光客で溢れ、コロナ前の日常が広がっていました。しかし能登半島へと車を走らせると、発災から3か月以上が経過した現在も、想像をはるかに超える状況が見えてきました。
能登半島の大動脈といえる「のと里山海道」も、片側が完全に土砂に埋まっていたり、崖に落ちてしまっている多くの場所で、復旧工事が行われていました。往路のみ利用可能の区間が続き、途中からは完全に通行止めとなっています。(2024年4月現在)完全な復旧までは、相当な時間がかかることが見て取れました。
日本RV協会の珠洲市への訪問
珠洲市には1月11日より30台のキャンピングカーが提供されており、支援のために訪れた全国からの自治体支援職員の休憩宿泊場所として活用されてきました。今回は日本RV協会の会員がメンテナンスに訪れ、FFヒーターや電装部分を中心に検査や管理作業を行いました。目立った故障はなく、綺麗に使われていたということです。
車両メンテナンスの様子。
隣接地には3月に設置されたトレーラーハウスが並び、小さな町が出来ていました。
その後、珠洲市の泉谷市長表敬のため市役所へ訪れましたが、ここにもキャンピングカーが。市役所は今も下水が使えない状況が続いており、トイレは使用禁止です。外には仮設トイレが設置されています。
泉谷市長は、「極寒の1月に起きた地震で、役場のすぐ近くで暖かく横になって寝られる場所があったことは、市役所職員含め多くのスタッフにとって、どれだけ助けになったか分からない。あの場所がなかったら、今ここにいられない職員も出ていたのではないかと思うほどだ。」と、車両提供に対し深く感謝していると語りました。
輪島市では更に地震の傷跡が鮮明に
輪島市街に入ると、町の規模が大きいこともあり、倒壊している家屋の数は更に増え、報道でよく目にした、輪島朝市の焼け跡もそのまま残っていました。
朝市の焼け跡の真横に30台のキャンピングカーが並びます。こちらも全国自治体からの応援職員の宿泊場所となっています。ソーラーパネルが付いているため、アイドリングや外部電源が不要で継続使用することが出来ます。
日本RV協会は今回、石川県の馳浩知事への表敬訪問も行いました。「キャンピングカーとくるま旅の普及を実現する議員連盟」事務局長の城内実衆議院議員のアレンジで実現したということです。
元プロレスラーの馳知事の知事室にはアントニオ猪木さんとの試合写真やチャンピオンベルトが飾られていました。
日本RV協会荒木会長より石川県内での車両提供活動、能登半島にも複数あるRVパークについて説明を行うと、馳知事からは活動への感謝が述べられるとともに「現在、創造的復興プランを策定している最中。能登半島を中心に、RVパークwith防災拠点という取り組みを前向きに検討したい。」との発言がありました。観光の起点・基点となるRVパークに、防災力を加えた新しい取り組みが、石川県から始まるかもしれません。
まとめ
今回の取材を通し、大きな地震が頻発するこの国において、車両の到着と同時に“快適な温度”で“横になることが可能”で、“プライバシーを確保出来る”キャンピングカーの災害時の支援力を改めて確認することが出来ました。特に山間地や半島、離島など、交通の便がよくない場所では復旧や仮設住宅の設営がより困難になるため、その有用性は更に大きな存在となることを肌で感じました。
いつどこで起きるか分からない災害。キャンピングカーメディアとしても、キャンピングカーの日常・観光使用の魅力に加え、災害時の生活場所としての有効性を引き続き発信していきます。そして様々な備えや支援の大前提となる「助け合う意識」を醸成出来るような記事も書いていきたいと思います。
「令和6年能登半島地震における日本RV協会の支援状況」特設サイトはこちら。