2026.06.30
ガソリンの税金とは?内訳と暫定税率廃止後の今を解説
最終更新日: 2026.06.29
給油のたびに「ガソリン代が高い」「昔は安かったのに」と感じていませんか?
暫定税率が廃止されたと聞いたのに、店頭価格はさほど下がっていない。そんな実感を持つ方も少なくありません。
ガソリン1リットルの価格には、本体価格のほかガソリン税や石油石炭税、さらに消費税まで含まれ、税金が占める割合はおよそ3割にのぼります。
この記事では、ガソリンにかかる税金の種類や1リットルあたりにおける税金の割合、暫定税率が廃止されて以降の変化まで詳しく解説します。
ガソリン価格に含まれる税金の内訳

ガソリンスタンドで表示される1リットルあたりの価格は、ガソリンそのものの値段だけではありません。複数の税金が上乗せされた合計額が、店頭価格として表示されています。
どの税金がいくら含まれているのかを、種類ごとに見ていきます。
ガソリン税は2つの税の総称
「ガソリン税」という名前の税金は、法律上は存在しません。揮発油税(1リットルあたり24.3円)と地方揮発油税(1リットルあたり4.4円)の2つをまとめた通称です。この2つを合わせた本則税率は、1リットルあたり28.7円になります。
揮発油税は国に納められる国税、地方揮発油税は、地方へ譲与される税です。かつては道路整備の財源でしたが、現在は使い道を限定しない一般財源になっています。納める段階ではどちらも製油所からの出荷時にかかり、最終的にガソリン価格へ転嫁されます。
かつてはこの本則28.7円に「暫定税率」といわれる上乗せがありましたが、2026年4月で廃止されました。暫定税率については、のちほど紹介します。
その他に上乗せされる税
ガソリン税に加えて、1リットルのなかにはもう2種類の負担が含まれます。
1つが石油石炭税(1リットルあたり2.8円)で、原油や石油製品に課される税です。このなかには地球温暖化対策のための上乗せ分(1リットルあたり0.76円程度)が含まれます。地球温暖化対策税は独立した別の税ではなく、石油石炭税の制度を使って税率を上乗せする課税の特例です。CO2排出量に応じた負担を求める目的で導入され、その上乗せ分は石油石炭税2.8円のなかに含まれています。
もう1つが消費税10%です。本体価格とガソリン税、石油石炭税を合計した金額に対してかかります。
整理すると、1リットルのガソリンには本体価格のうえに、揮発油税・地方揮発油税・石油石炭税(温暖化対策の上乗せ分を含む)・消費税などの複数の税が重なっています。消費税がどの金額に対してかかるのかという点が、二重課税と呼ばれる構造につながります。その仕組みはのちほど説明します。
1リットルの価格に占める税金の割合

価格の何割が税金なのかは、1リットルあたりの数字に置き換えると見えてきます。レギュラー全国平均170円を想定し、本体価格と各税額の内訳を示します。
| 区分 | 金額(1リットルあたり) |
|---|---|
| 本体価格 | 123.0円 |
| 揮発油税 | 24.3円 |
| 地方揮発油税 | 4.4円 |
| 石油石炭税(温暖化対策税分を含む) | 2.8円 |
| 消費税10% | 15.5円 |
| 合計(店頭価格) | 170円 |
※本体価格、消費税はおおよそ
170円のうち、税金の合計は約47.0円です。価格に占める税負担の割合は、おおむね3割弱になります。暫定税率が残っていた頃は、ここに上乗せ分25.1円が加わり、税負担はおよそ4割に達していました。同じ170円で比べた場合、上乗せ分が外れたことで、税金の割合は約4割から約3割へと下がる計算になります。
もっとも、暫定税率の廃止でいったん下がった店頭価格は、その後の原油高で再び上昇し、いまは補助金で全国平均170円程度に抑えられています。くわしい経緯はのちほど扱います。なお本体価格は原油相場や為替で日々動くため、上記はあくまで170円想定での目安です。
税金に税金がかかる二重課税の仕組み
ガソリン価格が二重課税と呼ばれるのは、消費税のかかり方に理由があります。
消費税は本体価格だけにかかるわけではありません。本体価格にガソリン税(28.7円)と石油石炭税(2.8円)を加えた合計額に対して、10%が課されます。
つまり、すでに税金が乗っている金額に、さらに別の税金が重ねてかかる形です。先ほどの170円想定では、消費税の対象額に含まれるガソリン税などの税金分にも約3円の消費税がかかっている計算になります。税金に税金がかかるこの構造が、二重課税(Tax on Tax)と呼ばれる理由です。
国税庁は、揮発油税や石油石炭税はメーカーなどが納める税で、販売価格の一部を構成するため、消費税の課税のもとになる金額に含まれると説明しています。
なお、ガソリン税はかつて道路整備に使い道を限定した道路特定財源でしたが、2009年度に使い道を限定しない一般財源へと切り替えられました。集めた税金がどこに使われるのかという点でも、ガソリン税は性格が変わってきた税といえます。
暫定税率の廃止|2026年の最新状況

ガソリン税には長らく、「暫定税率」と呼ばれる本則税率への上乗せ分が存在していました。この上乗せ分はガソリン、軽油と順に廃止されましたが、最新の状況を見ておきましょう。
ガソリンは2025年末に廃止
ガソリンの上乗せ分は、当分の間税率(旧暫定税率)と呼ばれ、1リットルあたり25.1円が本則28.7円に加算されていましたが、2025年12月31日に廃止されました。
暫定税率はもともと、財源不足を補う臨時の措置として始まり、名前を変えながら長く続いてきました。廃止により、税負担としては軽減されましたが、安くなった実感がない方もいるでしょう。
これは、ガソリン価格には税率以外の影響も多いためです。詳しくは次の章で解説します。
軽油の廃止とトリガー条項
軽油にも税金の上乗せ分がありました。軽油引取税の暫定税率は1リットルあたり17.1円で、2026年4月1日に廃止されています。
ただし廃止と同時に、それまで支給されていた同額の補助金も終了したため、店頭価格はほぼ横ばいの状況です。なお軽油引取税は地方税で、販売の形態によっては消費税の課税対象から外れる場合があります。ガソリンとは課税の扱いが一部異なります。
これらの廃止が議論されるなかでたびたび話題にのぼったのが、トリガー条項です。これはガソリン価格が一定水準を超えて続いた場合に、上乗せ分の課税を一時停止する仕組みでした。実際には発動されないまま、暫定税率そのものの廃止という形で決着しています。
暫定税率の廃止後も価格が下がりにくい理由

暫定税率が廃止されれば、その分だけガソリン代が下がると考えるのが自然です。ところが2026年6月時点の店頭価格は、税の軽減分ほどには下がっていません。その背景には、原油価格の動きと政府の補助金という2つの要因があります。
原油高で相殺される値下げ効果
2026年に入り、中東情勢の緊張を背景に原油価格が上昇しました。原油は本体価格のもとになるため、原油が上がればガソリンの本体価格も上がります。
ガソリンの暫定税率廃止で1リットルあたり25.1円分の税が軽くなった一方、本体価格の上昇がこの値下げ分をほぼ打ち消す形となりました。税が下がっても原油が上がれば、店頭価格は据え置きに近くなります。暫定税率廃止が必ずしも実感につながらない理由は、この相殺にあります。
価格を下支えするガソリン補助金
価格の高止まりを抑えるため、政府は補助金を活用しています。中東情勢の緊張を受け、政府は緊急的激変緩和措置を2026年3月11日に決定し、3月19日から支援を始めました。この支援により、レギュラー全国平均は1リットルあたり170円程度に抑えられています。
補助金は、利用者が申請する必要はありません。元売り会社へ直接支給され、卸価格を引き下げる方式がとられています。給油時に手続きをしなくても、店頭価格にあらかじめ反映される仕組みです。税の軽減と補助金が組み合わさることで、価格の急な変動が抑えられている状況といえます。
まとめ:ガソリンの税金と価格の構造を知ることが第一歩

ガソリンの店頭価格は、燃料そのものの本体価格に複数の税金が積み重なって決まっています。例えば1リットル170円のとき、そのおよそ3割にあたる約47円が税金です。
| 区分 | 割合(170円のうち) |
|---|---|
| 本体価格 | 約7割(約123円) |
| 税金 | 約3割(約47円) |
直近まで上乗せされていた暫定税率は廃止されましたが、価格は原油の取引価格や補助金といった社会情勢にも左右されます。そのため「税が下がっても、店頭価格がすぐに安くならない」という状況が発生するのです。
こうした構造や社会情勢の影響を知っておくと、価格の変動にも落ち着いて正しい判断ができるようになります。