CAMPINGCAR LIFE

2025.09.02

キャンピングカーの電源システム徹底解説!外部電源の必要性とメリット・デメリット

最終更新日: 2025.09.02

快適な空間の為に使われる様々な電化製品。近年のキャンピングカーは快適性がとても上がっていますが、その一端は冷蔵庫などの電化製品を使えることによって生み出されています。

何気なく利用している電化製品の数々ですが、実はキャンピングカーの電気は家庭用電気とは全く異なるシステムが利用されていることはご存じでしたか?知らずに無暗に使うとあっという間に停電してしまう危険性があるので、知っている方も知らない方もこの機会に『キャンピングカーの電気事情』を今一度この記事でおさらいしてみてはいかがでしょうか。

最低限知っておきたい!キャンピングカーの電源に関する基礎知識

知っておきたいとは言っても、何も知らない状況で一から調べていくのは大変な物。ここではキャンピングカーの電気まわりについて、要点を絞ってご紹介させて頂きます。

キャンピングカーは直流12V

キャンピングカーの電気はエンジンを始動させるDC(直流)12Vが基本となっており、これはエンジンの回転で動く発電機・オルタネーターから発生する電気が元になっています。そのうち、カーバッテリーに充電する分の余剰分がサブバッテリーに充電され、このサブバッテリーの電気を家庭用電源のAC(交流)100V等用途に応じて変換して電化製品に使用しているのです。

同じ消費電力の製品を使用する時、100Vと12Vではラインに流れる電流の強さは約8倍もの差があります。DIYで電線(ライン)を増設する場合、このことを念頭に置いて耐電流量が適切な太いラインを選択しないと発熱発火事故の原因となるので気を付けましょう!

電気の単位・記号をチェック

キャンピングカーの電源システム

先ほどサブバッテリーの充電についてオルタネーターで発生した電気の余剰分を利用すると記載しましたが、他の充電方法もあります。よく利用されるのが、ソーラー発電・外部電源コンセントからの供給・車載発電機からの供給です。

ソーラー発電機の場合は、12V用のシステムでも発電圧が18V以上になるので、適正充電圧にする充電コントローラーを介する必要があります。

外部電源・車載発電機を利用する場合は、外部電源の100Vの電気をサブバッテリーのDC12Vに変換する外部充電器を使用する必要があります。二つを併用することも出来ますが、その場合は電源ラインを切り替えるスイッチが必要となってきます。また、サブバッテリー介さずに外部電源や発電機の電気を直接利用するラインを作ることも出来ますが、その場合はサブバッテリー経由の電源と重ならない仕組みを作ることが必要となってきます。

文章のみでは分かり辛いので、詳しくは下の図をご覧ください。

一般的な電源システム図

キャンピングカー 電源システム

キャンピングカーで電源を確保する方法

大まかな概要は以上ですが、ここからはキャンピングカーで電源を確保する方法について、別個に解説させて頂きます。

サブバッテリー

サブバッテリーは車本体に電気を供給するメインバッテリーとは別に、キャンピングカー内などに使用する電装類に電気を供給するためのバッテリーです。

大電力を瞬時に供給できるメインバッテリーとは違い、サブバッテリーは安定的電気を長時間供給するためのものを使用します。

主に使用されるのは鉛蓄電池のディープサイクルバッテリーセミサイクルバッテリーで、これは複数個を並列してし使用することが出来ます。が、エアコンなど大電力を使用する家電を長時間使用すると、バッテリー容量よりも早く枯渇します。

サブバッテリーとしては、リチウムイオンバッテリーも利用されることがあります。こちらは大電力にも強く長時間の使用に耐えうる上に軽量と良いことづくめに思えますが、価格が鉛蓄電池の数倍と高価な上に、製品によっては熱膨張や発火などのトラブルもあり品質が不安定なので、用途や安全性などをよく見極めて選択する必要があります。

サブバッテリーに関して詳しくは以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。

インバーター







サブバッテリーのDC12Vを家庭用のAC100Vに変換する装置。

インバーターとは、サブバッテリーのDC電源をAC100V電源に変換する機器です。キャンピングカーのサブバッテリーは通常DC12VやDC24Vなので、家庭用の電化製品がそのまま使えません。インバーターで電源を変換すると、キャンピングカーで家庭用の電化製品が使えるようになります。

シガーソケットから電気を供給するタイプや、サブバッテリーに直接太いコードで接続するタイプなど多種多様な製品がありますが、デジタル制御の家電品を使用する場合は、家庭用電源と同様の正弦波(電気の変化が滑らかなサイン波)が出力される製品が必須となっています。

安価なインバーターは、正弦波ではなく疑似サイン波や短径波などで出力される場合があるので、用途に合わせて選択しましょう。

ポータブル電源

ポータブル電源とは、持ち運びできる大容量のバッテリーのことです。電源がない場所でも、ポータブル電源を使うとキャンピングカーの車内で冷蔵庫やテレビを利用できます。

ポータブル電源は、AC・DC・USB・シガーソケットなどさまざまなタイプがあるため、容量や利用目的に応じて選びましょう。

ポータブル電源の選び方やおすすめ商品を知りたい方は、以下の記事を参照してください。

外部電源

外部電源とは、車載のサブバッテリーとは別に、RVパークや電源サイト付きキャンプ場などの施設側が提供するAC電源(コンセント)のことを指します。

専用コードで車両とコンセントを接続するだけで、施設側の電力を直接車内で使用できるようになります。

外部電源を利用すると、サブバッテリーの残量を気にすることなく、電子レンジやエアコンなどの消費電力の大きい家電を安定して使うことが可能です。

同時にサブバッテリーの充電も行われるため、連泊する際の電力確保に欠かせない設備です。

発電機

燃料エンジンで稼働し、高出力のAC100Vを手軽に確保することが出来るシステム。

発電機とは、電源がない場所で電気を作る機械です。燃料を用いて発電できるため、屋外で電化製品を使う際に重宝します。

燃料はガソリン・軽油・LPガス・カセットガス等様々で、車本体の燃料タンクから燃料供給を行うビルトイン型のキャンピングカーもあります。最近ではAC100VだけではなくDC12VやUSBコンセントを併設している製品もあり、使用感も様々です。

大きさも様々で、コンパクトな500W型から工事現場で使用されるような大型のものがありますが、900Wの9i型や3000Wの30i型の物を持ち運び使用する場合が多いです。

キャンピングカーの電源を充電する方法

キャンピングカーの電源は充電が必要になります。充電方法として、走行充電とソーラーシステムの仕組みを解説します。

走行充電

走行によって発生した電気のうち、メインバッテリーに供給する必要のなくなった余剰分をサブバッテリーに充電してくれるシステムです。

走行によって発生した電気は、車の走行に必要なメインバッテリーが優先的に充電されるので、カーエアコンなどの使用で余剰の電気がなくなった場合、サブバッテリーへの充電は行われません。

オルタネーターの発電圧よりもサブバッテリーの充電圧が高い場合、サブバッテリーを満充電にすることが出来ませんが、昇圧型の走行充電器を使用することにより、満充電に近づけることも出来ます。

ソーラーシステム

ルーフなどにソーラーパネルを設置してサブバッテリーに充電をするシステム。パネルに使用されている素材により、性能や価格に差異があります。

パネルと同様に重要なのがソーラーチャージコントローラー。パネルで発電された電気を適切な充電圧に変換するシステムで、PWM方式とMPPT方式があります。

PWM方式は変換時に発生する余分な電圧を熱にして放出する方式です。

MPPT方式は余分な電圧を電流に変換し効率的な充電を行うことが出来ますが、PMW方式に比べて高価なシステムとなっています。

キャンピングカーに外部電源は必要?

車内で家電を気兼ねなく使いたい場合には、外部電源が必要になります。

キャンピングカーの電源はサブバッテリーから供給されるため、使える電気の量には限りがあります。

特にドライヤーや電気ケトル、エアコンなどの消費電力の大きい家電は、サブバッテリーだけでは長時間の使用が難しいのが実情です。

外部電源に接続すれば、電力残量を気にすることなく、家庭と同じように家電を使用できます。

キャンピングカーの電源を充電できる場所

キャンピングカーの充電は、以下のような場所でできます。

  • RVパーク
  • オートキャンプ場
  • 道の駅

上記の施設には100V電源のコンセントがあるため、キャンピングカーの電源を充電できます。

ただし、道の駅は充電できる場所が限られているので、事前に充電できるかの確認が必要です。各施設によって利用時間や料金も異なります。

キャンピングカーの充電が必要な方は、どの施設で充電するか考えながら目的地を決めましょう。

特におすすめのRVパークについて詳しくは以下の記事で紹介しているので、あわせて参考にしてください。

おわりに

簡単にですが、キャンピングカーの電気まわりについてご紹介させて頂きました。

ACやDC等日常生活ではあまり聞きなれない話題が多かったかと思いますが、それぞれの特性・車載のサブバッテリーについて理解することで、トラブルの少ない快適なキャンピングカー旅を楽しむことが出来るので、既にキャンピングカーをお持ちの方は愛車についての理解を、これから購入する方は購入の参考に是非していただけますと幸いです。

CAM-CAR | キャンカー編集部