CAMPINGCAR LIFE

2022.08.27

押さえたい!キャンピングカーの『電気事情』

最終更新日: 2022.08.27

快適な空間の為に使われる様々な電化製品。近年のキャンピングカーは快適性がとても上がっていますが、その一端は冷蔵庫などの電化製品を使えることによって生み出されています。

何気なく利用している電化製品の数々ですが、実はキャンピングカーの電気は家庭用電気とは全く異なるシステムが利用されていることはご存じでしたか?知らずに無暗に使うとあっという間に停電してしまう危険性があるので、知っている方も知らない方もこの機会に『キャンピングカーの電気事情』を今一度この記事でおさらいしてみてはいかがでしょうか。

本記事は、多くの車雑誌を刊行しているマガジン大地の『キャンプカーマガジン』9月号との連動記事になります。

最低限知っておきたい!キャンピングカーの電気まわり

知っておきたいとは言っても、何も知らない状況で一から調べていくのは大変な物。ここではキャンピングカーの電気まわりについて、要点を絞ってご紹介させて頂きます。

その① キャンピングカーは直流12V

キャンピングカーの電気はエンジンを始動させるDC(直流)12Vが基本となっており、これはエンジンの回転で動く発電機・オルタネーターから発生する電気が元になっています。そのうち、カーバッテリーに充電する分の余剰分がサブバッテリーに充電され、このサブバッテリーの電気を家庭用電源のAC(交流)100V等用途に応じて変換して電化製品に使用しているのです。

同じ消費電力の製品を使用する時、100Vと12Vではラインに流れる電流の強さは約8倍もの差があります。DIYで電線(ライン)を増設する場合、このことを念頭に置いて耐電流量が適切な太いラインを選択しないと発熱発火事故の原因となるので気を付けましょう!

電気の単位・記号をチェック

その② キャンピングカーの電装システム

先ほどサブバッテリーの充電についてオルタネーターで発生した電気の余剰分を利用すると記載しましたが、他の充電方法もあります。よく利用されるのが、ソーラー発電・外部電源コンセントからの供給・車載発電機からの供給です。

ソーラー発電機の場合は、12V用のシステムでも発電圧が18V以上になるので、適正充電圧にする充電コントローラーを介する必要があります。

外部電源・車載発電機を利用する場合は、外部電源の100Vの電気をサブバッテリーのDC12Vに変換する外部充電器を使用する必要があります。二つを併用することも出来ますが、その場合は電源ラインを切り替えるスイッチが必要となってきます。また、サブバッテリー介さずに外部電源や発電機の電気を直接利用するラインを作ることも出来ますが、その場合はサブバッテリー経由の電源と重ならない仕組みを作ることが必要となってきます。

文章のみでは分かり辛いので、詳しくは下の図をご覧ください。

一般的な電装システム図

その③ キャンピングカーの電気まわりでよく聞く単語

大まかな概要は以上ですが、ここからはキャンピングカーの電気まわりでよく聞く単語にについて、別個に解説させて頂きます。

サブバッテリー

サブバッテリーは車本体に電気を供給するメインバッテリーとは別に、キャンピングカー内などに使用する電装類に電気を供給するためのバッテリーです。

大電力を瞬時に供給できるメインバッテリーとは違い、サブバッテリーは安定的電気を長時間供給するためのものを使用します。

主に使用されるのは鉛蓄電池のディープサイクルバッテリーセミサイクルバッテリーで、これは複数個を並列してし使用することが出来ます。が、エアコンなど大電力を使用する家電を長時間使用すると、バッテリー容量よりも早く枯渇します。

サブバッテリーとしては、リチウムイオンバッテリーも利用されることがあります。こちらは大電力にも強く長時間の使用に耐えうる上に軽量と良いことづくめに思えますが、価格が鉛蓄電池の数倍と高価な上に、製品によっては熱膨張や発火などのトラブルもあり品質が不安定なので、用途や安全性などをよく見極めて選択する必要があります。

走行充電

走行によって発生した電気のうち、メインバッテリーに供給する必要のなくなった余剰分をサブバッテリーに充電してくれるシステムです。

走行によって発生した電気は、車の走行に必要なメインバッテリーが優先的に充電されるので、カーエアコンなどの使用で余剰の電気がなくなった場合、サブバッテリーへの充電は行われません。

オルタネーターの発電圧よりもサブバッテリーの充電圧が高い場合、サブバッテリーを満充電にすることが出来ませんが、昇圧型の走行充電器を使用することにより、満充電に近づけることも出来ます。

ソーラーシステム

ルーフなどにソーラーパネルを設置してサブバッテリーに充電をするシステム。パネルに使用されている素材により、性能や価格に差異があります。

パネルと同様に重要なのがソーラーチャージコントローラー。パネルで発電された電気を適切な充電圧に変換するシステムで、PWM方式とMPPT方式があります。

PWM方式は変換時に発生する余分な電圧を熱にして放出する方式です。

MPPT方式は余分な電圧を電流に変換し効率的な充電を行うことが出来ますが、PMW方式に比べて高価なシステムとなっています。

インバーター

サブバッテリーのDC12Vを家庭用のAC100Vに変換する装置。

シガーソケットから電気を供給するタイプや、サブバッテリーに直接太いコードで接続するタイプなど多種多様な製品がありますが、デジタル制御の家電品を使用する場合は、家庭用電源と同様の正弦波(電気の変化が滑らかなサイン波)が出力される製品が必須となっています。

安価なインバーターは、正弦波ではなく疑似サイン波や短径波などで出力される場合があるので、用途に合わせて選択しましょう。

発電機

燃料エンジンで稼働し、高出力のAC100Vを手軽に確保することが出来るシステム。

燃料はガソリン・軽油・LPガス・カセットガス等様々で、車本体の燃料タンクから燃料供給を行うビルドイン型のキャンピングカーもあります。最近ではAC100VだけではなくDC12VやUSBコンセントを併設している製品もあり、使用感も様々です。

大きさも様々で、コンパクトな500W型から工事現場で使用されるような大型のものがありますが、900Wの9i型や3000Wの30i型の物を持ち運び使用する場合が多いです。

おわりに

簡単にですが、キャンピングカーの電気まわりについてご紹介させて頂きました。

ACやDC等日常生活ではあまり聞きなれない話題が多かったかと思いますが、それぞれの特性・車載のサブバッテリーについて理解することで、トラブルの少ない快適なキャンピングカー旅を楽しむことが出来るので、既にキャンピングカーをお持ちの方は愛車についての理解を、これから購入する方は購入の参考に是非していただけますと幸いです。

連動記事にご協力いただいた雑誌「キャンプカーマガジン」

本記事で紹介した新車情報はキャンプカーマガジンの9月号に掲載されているの内容のほんの一部です。雑誌の方では、キャブコンに限らず、トレーラーなどさまざまなタイプの新車情報が盛りだくさんに掲載されていますよ。

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